2025年4月号
特集
人間における運の研究

人間における
運の研究

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『人間における運の研究』──と題して本を出版し、10万部を超すベストセラーになったことがある。故・米長邦雄よねながくにお氏が挑戦7回目、50歳目前に名人位を獲得した時である。

50歳での名人在位は空前のことだっただけに、世間も沸いた。そのタイミングで渡部昇一わたなべしょういち氏と対談していただいたのである。予想通り、本はヒットした。副題の「幸運の女神はどういう人にほほえむのか」のフレーズも人の心をとらえたのかもしれない。

米長氏は、運をよくするには心がけが大事だといい、幸運の女神は謙虚さと笑いが好きで、そういう人にほほえむのだと言われた。

そして、「人をうらむ。にくむ。ねたむ。そねむ。ひがむ。やっかむ。──そういう気持ちを持っている人に運はついてこない」と断言された。

渡部昇一氏は幸田露伴こうだろはんの『努力論』から幸福三説こそ、運をよくする心得だと説かれている。