いま気候変動や土壌汚染、紛争の勃発、人口増加などの影響により、世界的な水不足、食料危機が目の前に迫っていると言われている。それは貧しい発展途上国だけの問題ではなく、世界の経済大国であり、豊かな自然に囲まれた日本もまた例外ではない。それぞれ「水」と「食(農)」の問題に通暁するグローバルウォータ・ジャパン代表の吉村和就氏と東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏に、日本が直面する危機、そして真に豊かな国・日本を取り戻す道筋を縦横に語り合っていただいた。
降雨量の減少、熱波などの要因が重なって干上がった、フランス東部とスイス西部の自然な国境であるドゥー川の一部。2022年6月以降、ヨーロッパは3度目の熱波に見舞われるなど、異常気象が続いている ©AFP=時事
グローバルウォータ・ジャパン代表
吉村和就
よしむら・かずなり
昭和23年秋田県生まれ。大学卒業後、企業勤務を経て、平成10年国連ニューヨーク本部、経済社会局・環境審議官に就任。17年グローバルウォータ・ジャパン設立、代表に就任。著書に『水ビジネス110兆円水市場の攻防』(角川書店)『図解入門業界研究最新 水ビジネスの動向とカラクリがよ〜くわかる本』(秀和システム)など多数。
東京大学大学院教授
鈴木宣弘
すずき・のぶひろ
昭和33年三重県生まれ。57年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学大学院教授を経て、平成18年東京大学大学院農学生命科学研究科教授。FTA産官学共同研究会委員、食料・農業・農村政策審議会委員、財務省関税・外国為替等審議会委員、経済産業省産業構造審議会委員、コーネル大学客員教授などを歴任。著書に『食の戦争』(文春新書)『農業消滅』(平凡社)『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社)など。