庄内地方の田園が見渡せる本店に、全国の食通が足を運ぶアル・ケッチァーノ。シェフの奥田政行氏は地場食材を使った独自のイタリアンを発信、山形県鶴岡市を「ユネスコ食文化創造都市」認定へ導いた立役者である。その氏が師と呼んで憚(はばか)らないのが、世界初の遠赤外線による調理法を確立した後藤光雄シェフだ。30年来の師弟関係にある両氏から、技術と精神の伝承、師資相承の真髄を探る。
葆里湛シェフ
後藤光雄
ごとう・みつお
昭和29年東京都生まれ。高校卒業後、東京のレストランを中心に修業を積み55年渡仏。63年「葆里湛」伊勢丹店にて低温調理遠赤外線を開発。平成7年より17年まで「ア・ヴォートル・サンテ」オーナーシェフ。25年香港「葆里湛」で低温調理遠赤外線を伝授。同店休業に伴い帰国後はパーソナルシェフとして活躍、令和6年より再開店。
アル・ケッチァーノオーナーシェフ
奥田政行
おくだ・まさゆき
昭和44年山形県生まれ。高校卒業後、東京で7年間修業し、26歳で鶴岡ワシントンホテル料理長就任。平成12年「アル・ケッチァーノ」を鶴岡市に開店。16年より「食の都庄内」親善大使。令和元年文化庁長官表彰受賞ほか受賞多数。近著に『パスタの新しいゆで方 ゆで論』(ラクア書店)『日本再生のレシピ』(共同通信社)など。