2018年7月号
特集
人間の花
インタビュー③
  • 日本コカ・コーラ 東京2020年オリンピックホスピタリティ責任者薄井シンシア

幾つになっても自分を
成長させることで
人生の花が咲く

専業主婦の仕事を「キャリア」と位置づけ、家事・育児に専念する17年間を過ごした薄井シンシアさん。子供の大学進学を機に時給制のアルバイトを始め、数年後には一流ホテル営業開発担当副支配人という重職を務めた驚くべき経歴の持ち主である。「成長」をモットーに育児・仕事の双方で自らの目標を達成された薄井さんに、仕事の心得、幸せを掴む思考法をお話しいただいた。

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58歳で日本コカ・コーラに就職

——薄井さんは専業主婦を17年間務めた後、アルバイトからスタートし、一流ホテルの重職を歴任してこられたと伺いました。

はい。娘が大学に進学した2007年に仕事を再開し、ANAインターコンチネンタルホテル東京で営業開発担当副支配人を、シャングリ・ラ ホテル東京でディレクターを務めた後、2018年から日本コカ・コーラで働いています。
コカ・コーラ社は2020年の東京オリンピックのトップパートナーなんですけど、私はそのホスピタリティの責任者として採用されました。オリンピック期間中の国内外のお客様の宿泊、試合チケット、交通手段の手配や準備が仕事となります。

——新たな挑戦を始めたばかりなのですね。

そうなんです。ありがたいことに、日本コカ・コーラは通常転職が難しいような58歳という年齢の私を雇ってくれました。会社の理念に「成長文化」というのがあるんですけど、社員が成長しないと会社の成長ってあり得ないので、私もまた会社が与えてくれている様々な機会を活かして、自分を成長させていきたいと思っています。
コカ・コーラ社は1928年からオリンピックのトップパートナーで、この国際的なイベントを介した活動に力を入れており、日本においてもそのための専門部署が結成されました。いまはまだ8名ですが、2020年までに50名の体制になります。
コカ・コーラ社にはこれまでのパートナーとしてのレガシー、つまり伝統やノウハウが培われているので、それを学び、いかに引き継いで、2020年の時にさらに進化させた形で開花できるのか。非常に責任重大な仕事だと思っています。

日本コカ・コーラ 東京2020年オリンピックホスピタリティ責任者

薄井シンシア

うすい・しんしあ

昭和34年フィリピンの華僑の家に生まれ、国費留学生として20歳で来日。東京外国語大学卒業後、日本人と結婚し日本国籍を取得。平成19年48歳の時、娘の大学進学を機に仕事を再開。アルバイトを経て、ANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。勤続3年で営業開発担当副支配人になる。29年シャングリ・ラ ホテル東京に勤務後、30年1月より現職。29年から無償でワリス戦略顧問を務める。著書に『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。