2026年8月号
特集
時務を識る者は
俊傑に在り
一人称
  • 会社力研究所代表長谷川和廣

会社力の研究

赤字会社と黒字会社は
どこが違うのか

60年で約2,400社。経営再建のプロである長谷川和廣氏が蘇らせてきた会社の総数である。経営環境が目まぐるしく変わる中、経営者は、経営幹部は、何を拠り所にすればよいのか。赤字になる会社と黒字で成長する会社はどこが違うのか。いつの時代も利益を出し続ける会社になるための「会社力」のエッセンスを、氏の体験を踏まえて繙いていただいた。

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    会社力研究所代表

    長谷川和廣

    はせがわ・かずひろ

    昭和14年千葉県生まれ。中央大学経済学部を卒業後、ジョンソンほか複数の外資系企業でマーケティング、プロダクトマネジメントを担当。その後、ケロッグジャパンなどで要職を歴任し、平成5年会社力研究所設立。12年ニコン・エシロールの代表取締役に就任、50億円もの赤字を抱えていた同社を1年目で営業利益を黒字化。3年目で無借金経営に導く。これまでに2,000社を超える企業の再生事業に参画し、赤字会社の大半を立て直す。著書に『社長のノート』シリーズ(かんき出版)などがある。

    60年、経営を見つめ続けて

    あれは、私が某外資系企業に勤めていた27歳の時です。親しかった有名広告代理店の会長に、こんな助言を受けました。

    「長谷川さん、私の言うことを一つ聞いてくれ。毎日仕事の中で気づくことがあるだろう。きょうからそれをメモしておきなさい」

    その日からです。日頃気づいたことや耳に残った言葉など、「おやっ?」と思ったものを書き留めるようになったのは。

    初めは脈絡なくメモするだけでした。ところが帰宅後や移動中に整理・分析していくと、自分だけの有効な仕事術や対人関係、組織運営のコツがつかめ、追い込まれた時、判断・決断の際に立ち返る原理原則が生まれました。これは部下やクライアントの相談に応じるのにも大変役立ちました。

    この「おやっとノート」を書き続けて、今年(2026年)で60年。気づけば87歳、冊数は300を優に超えました。いまもって朝、5時に起きると新聞に目を通し、メモをするところから一日が始まります。

    これまで私は7社の外資系企業で経営幹部や社長を務め、そのかたわら〝再生コンサルタント〟として2,400社以上の赤字会社の再建にたずさわり、黒字へ導いてきました。これらの仕事を成し遂げる源泉が「おやっとノート」でした。

    会社再生には特別なノウハウがあると思われがちですが、そんなことはありません。危機の時ほど原理原則に立ち戻り、いますべきことを見極め、一歩一歩実行していくことが何より大切なのです。