2026年9月号
特集
めざすものを持つ
インタビュー③
  • マーナ社長名児耶 剛

誠実であれ
いい商品をつくれ

累計1,800万個を突破した、畳む煩わしさを解消するエコバッグ「Shupatto (シュパット) バッグ」をはじめ、使用者の目線に立った開発で数々のユニークなヒット商品を世に送り出してきた生活雑貨メーカー・マーナ。明治5年に創業し、150年以上経ったいまも人々に愛され続ける理由は何か。創業家に生まれ、五代目として社を発展に導いてきた名児耶 剛さんに、その秘訣と商品づくりに懸ける思いを伺った。

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    マーナ社長

    名児耶 剛

    なごや・ごう

    昭和58年東京都生まれ。平成18年学習院大学を卒業後、アメリカへ留学。帰国後、商社勤務を経て、23年高祖父が創業したマーナに入社。28年製品開発責任者、30年専務取締役、令和6年代表取締役社長に就任。

    暮らしを、いいほうへ。

    ──御社は老舗の生活雑貨ブランドとして、数々のヒット商品を世に送り出してこられましたね。

    当社は洋服ブラシのメーカーとして、1872年に新潟県長岡市で私の高祖父・とらまつが創業しました。洋服ブラシって、服をれいにするけれども、ブラシ自体は使えば使うほど汚れていきますよね。その姿になぞらえて、「自らが汚れても相手を綺麗にする」という精神が初代から脈々と受け継がれているんです。
    時代は変わり、現在は生活雑貨を中心に扱っていますが、商材は変わっても、お客様の笑顔のため、心地よさのために実直な商品開発を続けるという当社のものづくりの精神は何ら変わりません。
    現在はグループ4社、社員数約150名、販路を世界38か国に持ち、私は五代目に当たります。

    ──自社の強みは何だと思われますか。

    徹底して使う方の立場や思いに寄り添って開発をしていることだと思います。
    ともすれば、メーカーは「これならつくりやすい」「こうしたら売りやすい」という考えに陥りがちなのですが、我々の場合、そういったことはまったく考えていません。お客様が使った時に「心地いい」と思っていただけるデザインや機能をすごく大事にしているんです。
    実際、納得のいくまで何度でも試作を繰り返しますし、いいものであれば、2、3年かかってもしょうがないというスタンスで開発をしています。
    期間を短くしようと思えば、一つの商品につき半年でも正直できてしまうんです。市場の売れている商品を真似すればいいわけですから。しかし、私たちはそこに価値を感じていません。
    例えば、累計1,800万個を突破したエコバッグ「Shupattoシュパットバッグ」は、エコバッグを畳む手間に着目し、両端を引っ張ると一気に畳める仕組みを編み出しました。その革新性が評価されて、「レッドドットデザイン賞」「iF デザイン賞」という、世界三大デザイン賞と称される2つの賞を受賞することができました。
    実はこれは新入社員の女性が開発したもので、お客様の不便を解決するアイデアであれば、社歴に関係なく商品化するという姿勢も、当社ならではだと思います。
    「暮らしを、いいほうへ。」この理念のもと、お客様の不便を取り除き、暮らしを前に進める手助けをしたい。そう願って日々事業に取り組んでいるんです。

    世界的なデザイン賞を受賞した「Shupattoバッグ」。僅かな手間でコンパクトに畳める機能性とファッション性が魅力