がん細胞だけを破壊し、免疫細胞を活性化する――そんな夢のような画期的治療法が既に実用化されている。
「第五のがん治療」と呼ばれる〝光免疫療法〟だ。世界に先駆けて日本で承認され、保険適用が始まった。
さらに研究が進展し、適応拡大されれば、8~9割の固形がんを治療でき、転移や再発もなくなるという。
開発者である小林久隆氏とその活動を支援する北尾吉孝氏に、光免疫療法の現状と今後の可能性、開発に至るまでの道のり、成否を分けるものについて語り合っていただいた。
ノーベル賞級の世紀の大発見により、がんの苦しみや悲しみから人類が解放される日は近いかもしれない。
アメリカ国立衛生研究所主任研究員
小林久隆
こばやし・ひさたか
昭和36年兵庫県生まれ。62年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院に放射線科の臨床医として勤務。平成7年京都大学大学院医学研究科修了。医学博士。同年、アメリカ国立衛生研究所(NIH)に3年間留学。京都大学医学部助手を経て、13年再渡米し、NIHの研究員となる。17年主任研究員。23年光免疫療法の論文が米医学誌『Nature Medicine』に掲載される。令和4年関西医科大学附属光免疫医学研究所所長に就任。著書に『がんを瞬時に破壊する光免疫療法』(光文社新書)、医学監修として『がんの消滅』(新潮新書/芹澤健介・著)。
SBIホールディングス会長兼社長
北尾吉孝
きたお・よしたか
昭和26年兵庫県生まれ。49年慶應義塾大学経済学部卒業後、野村證券入社。53年英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村企業情報取締役、野村證券事業法人三部長など歴任。平成7年孫正義氏の招聘によりソフトバンク入社、常務取締役に就任。11年ソフトバンク・インベストメント(現・SBIホールディングス)を設立、代表取締役社長に就任。現在、SBIホールディングス会長兼社長。著書に『何のために働くのか』『強運をつくる干支の知恵』『人間学のすすめ』(いずれも致知出版社)など多数。