2026年6月号
特集
人間を磨く
インタビュー②
  • 希動学園創設者植松友乃

志を得た時、
子供たちの命は輝く

静岡県菊川市に希動学園というリーダー育成塾がある。塾生は小学生を中心に中学生までの約30人。驚くことに、塾生たちは『致知』や新聞記事を読みこなし、その内容を深掘りしては活発に討議する。その様はまさに大人顔負けである。創設者の植松友乃氏に、リーダー育成塾立ち上げの経緯や、それによっていかに塾生の人間性が高まったのか、お話しいただいた。

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    希動学園創設者

    植松友乃

    うえまつ・ともの

    昭和49年静岡県生まれ。姫路学院女子短期大学卒業後、静岡朝日テレビ勤務などを経て、平成15年キャリアイノベーションを設立し独立。コンサルタントとして社員研修、リーダー研修に携わり、23年菊川南陵高校の民間校長として経営の立て直しに尽力。25年リーダー育成塾・希動学園を設立。

    大人顔負けの読解力、プレゼン力

    ──先ほど塾生の皆様のもっけいかいの様子を拝見しましたが、小学生が『致知』の対談記事を読み込み、活発に語り合う姿には驚き、感銘を受けました。

    ありがとうございます。良書が人間形成のベースであることを教育の信条としてきたのですが、ある時、長年愛読する『致知』をテキストとすることを思いつきました。当塾にはいま小学生26人、中学生4人の合わせて約30人が通っていますけれども、2024年11月から月に1度、地域の方数人にも参加していただいて約80分の木鶏会を行っています。

    ──どのように進めるのですか。

    実施するに当たり、小学生の中からリーダー1名、「こころざし」発表者1名をそれぞれ決めて準備をします。リーダーは『致知』の記事を選び、その中でも深掘りした箇所のプレゼンテーションを担当します。
    進め方としては、リーダーが木鶏会の意義を説明した後、『致知』の記事を、1人1段落ずつ読んでいきます。入塾間もない園児、低学年の子はまだ読めませんので、同じ班のメンバーの動きを見ながら文章を指でなぞります。
    続くグループワークでは分からない言葉に丸をつけ、参加された地域の皆さんに教わります。電子機器ではなく「生身の大人に意味を教わる」とても贅沢ぜいたくな時間です。小学2年生の子が「祖国って何?」とき、大人が「あなたの祖国はどこ?」と訊き返す。このような温かな会話のやり取りは一生覚えているものです。その後、心に残る言葉に波線を引き、「今日からの実践」を各班でまとめて発表し合う。ここまでが木鶏会の流れです。
    「志」発表者は、自身の将来について述べるのですが、なりたい理想だけを掲げるのではなく、新聞などで社会課題を洗い出し、そのために何が求められるか「社会のニーズ」を明確にします。先ほど建築士を目指す小学3年生のプレゼンをお聞きいただきましたが、彼は実際に建設会社の社長に何をいまのうちに勉強し、何の資格を取得したらよいかを聞き、データを集め、プレゼンに臨みました。

    ──小学生でも大人顔負けの読解力やプレゼン力を身につけることができるのですね。

    はい。当塾では小学校卒業までに人生で必要な読み・書きを習得してもらうため、国語は中学2年生レベル、漢字検定は準2級を目指して学習しています。入塾して3年も経つと新聞や『致知』を素読そどくできるようになります。幼稚園の頃からの塾生は小学2年生ともなれば、「被疑者の身柄が検察官に送られ……」などと普通に読めるようになるわけです。
    だからといって漢字をひたすら書かせているわけではありません。塾に来たらまず掃除を行い、宿題の国語の教科書、『致知』をそれぞれ音読し感想を述べ合います。毎日16時40分から輪読やダンスを取り入れた独自の「朝礼」を行い、17時からの授業では「百ます計算」と「新聞読み」。その後、20時30分まではグループごとの自習時間です。
    分からないことは上級生が面倒を見るというスタイルが基本なのですが、教えるほうも習うほうも切磋琢磨せっさたくましながら、めきめきと力をつけていきます。

    ──いわゆる学習塾のイメージとは大きく異なりますね。

    当塾はトップ5%を育成するリーダー専門の塾なんです。企業の場合、仕事ができる5%が改革を行い、V字回復させているケースがほとんどです。布の中央をまみ上げると、布全体が一気に引き上げられるのと一緒ですね。
    残念ながら、日本には幼少の頃からリーダー性を身につけさせようとする風潮がありません。それより社会全体が弱者支援に回っているのが現状なのですが、私は明確な志を持ったリーダー性のある子供たちを育てることこそが重要であり、それができれば、いち早く日本の教育現場がよみがえっていくことを確信しているんです。