琉球王朝時代に王族や国賓をもてなす芸能として確立された琉球舞踊。この希少な伝統文化への長年の貢献が認められ、琉球舞踊で初となる人間国宝に認定されたのが志田房子氏である。3歳で入門し、八十路に入ったいまも舞台に上がり続ける志田氏。この稀有なる舞踊家を突き動かすものは何か。一道に懸ける思いに耳を傾けた。
琉球舞踊重踊流宗家、人間国宝
志田房子
しだ・ふさこ
昭和12年沖縄県生まれ。幼少より琉球舞踊の大家である玉城盛重に師事。重要無形文化財「琉球舞踊立方」保持者(人間国宝)。7歳で初舞台を踏み、昭和22年沖縄民政府主催の芸能審査会にて資格証明書を取得。深い趣を湛え、琉球舞踊の芸術性を伝える品格ある芸には、文化庁芸術祭芸術祭賞、文化庁芸術選奨文部大臣賞、文化庁長官表彰、旭日小綬章など、多数の栄誉が与えられている。後進の育成に尽力する他、現在に至る琉球舞踊の隆盛の礎を築くなど、斯界の普及発展に努めている。