往復48キロ、高低差1300メートルの険しい山道を16時間かけて上って下りる。それを年に120日余り、足掛け9年で4万8,000キロを歩く大峯千日回峰行。もしも途中で続行不可能と判断した時は、自ら命を絶たなくてはならない。1300年の歴史の中で、この過酷な行の2人目の満行者となった塩沼亮潤大阿闍梨。19歳で僧侶となり、23歳の時に「本気・本腰」の命懸けで臨んだ修行の果てに塩沼師が掴んだ「本物」とは何だったのか。去る1月27日に行われた「『致知』愛読者の集い全国大会in福岡」での講演の模様を紹介する。
この記事は約21分でお読みいただけます
慈眼寺住職
塩沼亮潤
しおぬま・りょうじゅん
昭和43年仙台市生まれ。63年吉野山金峯山寺で出家得度。平成3年大峯百日回峰行入行。11年千日回峰行満行。12年四無行満行。18年八千枚大護摩供満行。TED×Tohoku 2014(YouTube)では、仏教の教えである〝慈しみの心〟、日本の〝和の心〟を説く教えが国内のみならず世界中で反響を呼んでいる。現在、仙台市秋保・慈眼寺住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。著書に『人生生涯小僧のこころ』『人生の歩き方』『毎日が小さな修行』(いずれも弊社刊)ほか。