日本人に広く親しまれているイタリア料理。落合 務氏と片岡 護氏は、ともにその礎を築いたパイオニアである。日本でまだイタリア料理がほとんど浸透していなかった草創期より、高い視座で切磋琢磨し、予約が困難なほどの人気店をつくり上げてきたお2人の一流シェフに、食の道に懸ける思いを語り合っていただいた。
(ラ・ベットラ・ダ・オチアイ オーナーシェフ)
落合 務
おちあい・つとむ
昭和22年東京都生まれ。フランス料理のシェフを夢見て、41年ホテルニューオータニ入社。同社を退職後、イタリアでの料理修業を経て、57年東京赤坂のイタリア料理店「グラナータ」料理長。その後独立し、平成9年東京銀座に「ラ・ベットラ」をオープン。日本一予約のとれないレストランとして知られるようになる。21年日本イタリア料理協会会長。
リストランテ・アルポルト オーナーシェフ
片岡 護
かたおか・まもる
昭和23年東京都生まれ。工業デザイナーを志すも藝大受験に失敗し、知人の外交官に伴われイタリアで5年間総領事付料理人を務める。その後日本とイタリアで料理修業を重ね、52年東京南麻布のイタリア料理店「マリーエ」料理長。6年間連日満席という偉業を成し遂げる。58年に独立し、「リストランテ・アルポルト」を西麻布にオープン。