2017年5月号
特集
その時どう動く
インタビュー③
  • 特定非営利活動法人「食べて語ろう会」理事長中本忠子

人間の真の優しさとは
見返りを求めない心

〝広島のマザーテレサ〟と呼ばれる中本忠子さん。35年にわたって、身寄りのない貧しい子供たちに無償で食事と居場所を提供し続けている。慈悲の極みと言っても過言ではない。その35年の歩みを通じて中本さんが摑んだ「人生で大事な心構え」とは。

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広島のマザー・テレサと呼ばれて

──中本さんは広島の地で、身寄りのない貧しい子供たちに無償で食事と居場所を提供し続けていることから、広島のマザー・テレサと呼ばれているそうですね。

そんな大したもんじゃありませんよ、ただ長く続いとるだけのことで。昭和57年に始めたから、もう35年になります。私が初っ端に関わった子供はいま50なんぼじゃもんね(笑)。

──その間、何人ほどの子供たちに食事を提供されてきたんですか。

いまここに定期的に来ている子は30人弱なんやけど、通算で言うたら、そうね、200~300人くらいかな。

特定非営利活動法人「食べて語ろう会」理事長

中本忠子

なかもと・ちかこ

昭和9年広島県生まれ。21歳で結婚し、3人の子供を出産したものの、夫が急逝し、女手一つで子育てと仕事を両立する。57年「食べて語ろう会」を設立し、家庭環境に恵まれない子供たちに無償で食事と居場所を提供し続ける。平成27年度社会貢献者表彰(日本財団賞)、29年度吉川英治文化賞受賞。