ヒンドゥー教のカースト制度によって数千年にわたり差別され続けてきた不可触民を、万民平等を説く仏教に改宗させ、貧困と苦しみから救済し続けてきた日本人がいる。インド仏教最高指導者・佐々井秀嶺上人、88歳である。コロナ禍が明け、4年ぶりに日本に一時帰国した佐々井上人に、苦悩に満ちた壮絶な半生と命を懸けて取り組んできたインド仏教復興運動の歩みを交え、幸福な人生、社会を実現していく要諦を伺った。
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インド仏教最高指導者
佐々井秀嶺
ささい・しゅうれい
昭和10年岡山県生まれ。青年期から人生に苦悩し、全国を放浪する。35年高尾山薬王院で得度。40年薬王院留学僧としてタイに渡り、インドの日本妙法寺で修行に励む。以後、現在に至るまでインドのナグプールを活動の中心に、布教活動や仏教遺跡の発掘、ブッダガヤ大菩提寺奪還運動などに取り組む。平成15年インドの仏教徒代表として中央政府少数者委員会に就任(3年間)。18年アンべートカル博士改宗50周年記念式典(黄金祭)の大導師。22年ナグプール郊外に龍樹菩薩大寺を建立。26年その活動を支援する「南天会」が発足。