去る6月22日、スーパーコンピュータ「富岳」が国際ランキングにおいて4つの分野でトップを独占した。「京」が世界一になった2011年から、実に8年半ぶりの首位獲得である。その上、2位に2.8倍差をつけての独走だという。「富岳」開発のプロジェクトリーダーを務める石川 裕氏はトップを取ることが目標ではなかったと幾度となく口にするが、開発の軌跡、石川氏のリーダー論を交えて、世界初の偉業が成し遂げられた秘訣を探る。
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理化学研究所計算科学研究センターフラッグシップ2020プロジェクトプロジェクトリーダー
石川 裕
いしかわ・ゆたか
昭和35年東京都生まれ。57年慶應義塾大学工学部電気工学科卒業、62年同大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了後、通商産業省電子技術総合研究所に所属。63年から1年間カーネギーメロン大学客員研究員。平成14年東京大学大学院情報理工学系研究科助教授、18年教授。22年同大学情報基盤センター長に就任。26年より現職。令和2年6月より東京大学名誉教授。