運鈍根とは、1代で古河財閥を築いた古河市兵衛の座右の銘である。古河に限らず、明治という激動期を生き抜いた実業者たちは、等しく凄まじい苦労と努力の中で成功を掴み取っていった。日本経済史の視点で大阪大学名誉教授の宮本又郎氏と実業者を題材に詳伝を執筆する作家の北 康利氏に彼らが生きた明治という時代と彼らの抱いた志、気概について語り合っていただいた。
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大阪大学名誉教授
宮本又郎
みやもと・またお
昭和18年福岡県生まれ。神戸大学経済学部、同大学院修士課程修了。63年大阪大学経済学部教授、平成18年から関西学院大学大学院経営戦略研究科教授。20年より大阪企業家ミュージアム館長。専門は日本経済史・日本経営史。著書に『近世日本の市場経済』(有斐閣)『日本の近代 企業家たちの挑戦』(中央公論新社)など多数。
五代友厚
作家
北 康利
きた・やすとし
昭和35年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業後、富士銀行入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券業務企画部長等を歴任。平成20年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。『白洲次郎 占領を背負った男』(講談社)で第14回山本七平賞受賞。著書に『日本を創った男たち』(致知出版社)『思い邪なし 京セラ創業者稲盛和夫』(毎日新聞出版)など多数。近著に『本多静六 若者よ、人生に投資せよ』(実業之日本社)がある。