人生は自己を究めるための道──著名な書家、学者であり、臨済の禅者でもある吉田鷹村氏。94歳のいまも後進を導き、道を究めんとする心にはいささかの衰えもない。「人生は前進あるのみ」。そう力強く語られる氏に、師の教えやご自身の人生観を支えつつ、いくつもの関を乗り越えた今日までの歩みを語っていただいた。
書家
吉田鷹村
よしだ・ようそん
大正10年埼玉県生まれ。田邊古邨氏に書道、大森曹玄氏に禅を学ぶ。それぞれの道を究めながら、東京学芸大学書道科教授として学生たちを指南。現在名誉教授。書道一元會会長、鉄舟会理事、書道同文会理事長、お茶の水女子大学講師、全日本書写書道教育研究会理事長、全国大学書道学会会長などを歴任。現在も「皎心会」「たかむら会」などを主宰し門弟の育成に当たる。著書に『禅の話』(鳥影社)『書のこころ』(邑心文庫)、歌集『鷹村作品集』(正・続)がある。また、日本橋三越、日本橋高島屋、銀座鳩居堂などで10回の個展を開催。