2026年11月号
特集
夢なき者に
成功なし
インタビュー②
  • AJU自立の家 常務理事山田昭義

障がい者の夢の
実現に生きる

障がい者の自主自立した社会生活を総合的にサポートする社会福祉法人「AJU自立の家」(愛知県名古屋市)。現在のような障がい者福祉、バリアフリーの街づくりなどがほとんどなかった60年前、障がい者の自主自立を目指して有志で活動を始めたのが、AJU自立の家 常務理事を務める山田昭義氏、84歳である。「重い障がいがあっても、誰もが人としての尊厳を持って生活できる社会を実現する」という夢を胸に抱き、道なき道を拓いてきた山田氏に、乗り越えてきた試練、心の支えにしてきた信念をお話しいただいた。

【写真=AJU自立の家に隣接する恵方町教会にて】

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    AJU自立の家 常務理事

    山田昭義

    やまだ・あきよし

    昭和17年愛知県生まれ。15歳の時の事故で頸椎を損傷、胸から下が動かない重度障がい者となる。10年に及ぶ病院生活を経て、通信制高校のNHK学園、中央大学の通信教育で学ぶ。その後、障がい者の福祉向上、自立した生活を実現するべく、同志と共に「愛知県重度障害者の生活をよくする会」を設立。様々な取り組みを続ける中で、寬仁親王殿下との出逢いをきっかけに、平成2年、障がい者の自立した生活を総合的に支援する「AJU自立の家」の設立に尽力。現在常務理事を務める。

    障がい者の自立を支援する〝下宿屋〟

    ――山田さんが常務理事を務めている「AJU(愛の実行運動)自立の家」は、障がい者の方が地域社会の中で自立して生活できるよう、時代に先んじた様々な取り組みを行ってこられたそうですね。

    近年、「地域移行」(福祉施設や病院などの環境から、地域社会で自立した生活を送ることを目指す)という言葉がよく聞かれます。しかし私たちは昭和60年頃からその大切さを認識し、勉強会を重ね、平成2年に「AJU自立の家」をスタートさせたんです。
    後から詳しくお話ししますが、設立のきっかけは、寬とも仁ひと親王殿下より「障がい者の〝下宿屋〟をつくってはどうか」と、提言をいただいたことでした。AJU自立の家の福祉ホーム「サマリアハウス」に下宿しながら、地域の方々と交流し、様々な技術、知識を身につけた仲間たち(利用者)は、4年経つと、地域に家を探して独立生活に移っていきます。ここが一般的な福祉ホームとは違う点です。
    ただ、社会に出て行っても、独立して生活するためには仕事も介助も必要です。ですから、AJU自立の家では、「わだちコンピューターハウス」などの働く場、介助支援や緊急時の介助派遣事業も運営しています。いわば「暮らしの拠点としての下宿屋」「地域社会・仲間との交流の場」「持てる機能を活かす働く場」、その3つを備えたのが「AJU自立の家」なんです。

    ――障がい者の自主自立を総合的にサポートしているのですね。

    3つの場は、同時に立ち上げました。私が「一つでも大変です」と、寬仁親王殿下に申し上げたところ、「3つ一緒につくることが大切だ」とおっしゃり、企画から施設建設まで多た岐きにわたる御指導、御尽力をいただきました。
    立ち上げは大変でしたけれども、これまで170人を超える仲間が下宿屋を卒業し、自立した生活を送っています。仲間同士で結婚して子供ができた人もいますよ。いまでは設立してよかったなと、殿下には心より感謝しています。