2022年11月号
特集
運鈍根
インタビュー①
  • 道の駅むなかた社長中野和久

お客様の信頼と期待に
応え続ける

九州地区では11年連続売上ナンバーワン、年間約160万人が訪れる「道の駅むなかた」(福岡県宗像市)。「道の駅むなかた」は、なぜそこまで人々を惹きつけるのか、他の道の駅と何が違うのか——。中野和久社長にその独自の取り組みと共に、お客様に長く親しまれ、愛され続ける事業の要諦をお話しいただいた。

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九州ナンバーワンの秘訣は鮮度・品質にあり

——連日多くのお客さんが押し寄せる「道の駅」があると伺い、やってまいりました。きょうも平日ですが、大変なにぎわいですね。

ここ「道の駅むなかた」(福岡県むなかた市)は、オープンしてから今年(2022年)で14年目になります。新型コロナが蔓延まんえんする前、2019年の来場者(1年間)は全体で約160万人、売り上げは約16億3,000万円で、九州地区の道の駅では、11年連続売り上げナンバーワンを記録しているんです。

——11年連続ナンバーワン。それは驚きです。多くの人をきつける「道の駅むなかた」の特徴や魅力を教えていただけますか。

まず大きいのは地元で取れる新鮮で安全・安心な物産、特産品です。宗像は海の幸、山の幸に恵まれ、出品者である漁師や農家の方々が、営業開始前に取れたての新鮮な商品を直接売り場まで届けてくださるんですね。特に海産物が売り上げを引っ張ってくれているのですが、これだけ新鮮で豊富な種類の海産物を扱っている道の駅は九州でも珍しいと思います。
実際、オープン当初から海産物が注目を浴び、多くのメディアに取り上げられたことで認知度が向上したという部分があります。
それから、お弁当やお惣菜などを含め加工品も充実しているのも特徴です。あちこちの道の駅を巡っている「道の駅ファン」の方もいらっしゃるのですが、「道の駅むなかた」は品揃えが多く、売り場スペースも大きめにとっていますから、楽しんで買い物していただいているようです。

——常に新鮮で安全・安心、豊富な商品を提供するには、出品者の方との関係が鍵になりますね。

ええ、スタッフにも、「出品者の皆さんとは運命共同体だ」と伝えています。店頭に並ぶほとんどが出品者の商品なので、その鮮度、品質がうちの生命線です。「道の駅むなかた」の主役はあくまでも商品。この方針を変えていくことは、まずあり得ないですね。

——ああ、商品が主役。

鮮度、品質に関しては、生きている魚を氷でしめる「野〆」か、生きたまま魚を〆る「活〆」か、どの方法で魚を〆たかまで分かるラベルを商品に貼っています。価格で比べたらスーパーにはかなわないかもしれませんが、〆方までこだわったスーパーはまずないと思います。また、その日に売れ残った分は基本的に出品者の方に引き取っていただいています。それによって、出品者の方々にも次はもっとよい商品をつくろう、出そうという意識が生まれてくるんですね。
出品者との関係はものすごく大事にしていますし、昨年(2021年)には改めて品質管理マニュアルをつくり、出品者、スタッフ双方によるチェックを行いながら、さらなる品質管理の徹底、品質向上を目指しているところです。

道の駅むなかた社長

中野和久

なかの・かずひさ

昭和33年福岡県生まれ。宗像市役所で経営企画部長、産業振興部長を務めた後に令和元年4月(株)道の駅むなかた入社。令和2年6月より現職。