2021年11月号
特集
努力にまさる天才なし
インタビュー③
  • 三和デンタル社長菅沼佳一郎

諦めなければ
努力は必ず道をひらく

主力商品である「スマイルデンチャー」をはじめ、様々な口腔関連製品の製造・販売、セミナーに取り組む三和デンタル(東京都)。いまでこそ中国の北京やタイのバンコクなど、世界を舞台に事業を展開する同社だが、かつては慢性的な赤字や社員の反発など、いつ倒産してもおかしくない綱渡りの状況にあったという。創業者である菅沼佳一郎社長に壮絶な生い立ちを交えながら、経営人生を変えた稲盛和夫氏の言葉、実体験から掴んだ信条を語っていただいた。

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周りのせいにしない、できない理由を考えない

——御社の主力商品の「スマイルデンチャー」(入れ歯)は、業界ではトップシェアだそうですね。

弊社は歯科技工の総合ラボとして、入れ歯や差し歯、口腔こうくうケア製品の製作・販売、セミナーなどを主に行っています。特にスマイルデンチャーは、従来のように金具を使わず、歯や歯茎はぐきの色に合わせてつくることができる審美性の高い入れ歯で、アメリカなどで普及していたものを私たちが日本に初めて紹介し広めたんです。
あと、当社の特徴は海外で事業展開していることです。スマイルデンチャーの製作は、業務提携する中国・北京の技工所に外注しており、タイのバンコクにも自社工場とラボを構え、各種製品の製作・販売を行っています。歯科技工所は日本にたくさんありますけど、海外で広く事業展開をしているところは少ないと思います。

——海外でも。素晴らしいですね。ただ、いまは新型コロナの蔓延もあり難しい状況ではないですか。

確かに、中国では納期が延びたり影響はありますよ。でも、うまくいかないことを環境のせいにしてはいけないと思うんですね。新型コロナで営業できないと泣き言を言っても何も始まらない。だから、できない理由を探す暇があればいまやれること、やらなくてはいけないことに一所懸命取り組もうと社員に伝えています。どんな苦しい状況でも泣き言を絶対言わない、これは私の信念です。

三和デンタル社長

菅沼佳一郎

すがぬま・かいちろう

昭和25年北海道稚内市生まれ。定時制高校を卒業後、20以上の職を経て、57年三和デンタルを創業。