「行き着くところは役者の人間性を磨く他ありません」。2020年卒寿を迎えた狂言師・野村 萬氏のこの言葉は重い。4歳で初舞台を踏み、80年以上、狂言一筋に生きてきた野村氏は、どのような思いでそれぞれの舞台を務めてきたのだろうか。いまなお新たな狂言のあり方を模索し、挑戦を続ける野村氏に聞いた(写真『見物左衛門 深草祭』2018年国立能楽堂 開場35周年記念/写真提供:国立能楽堂)。
狂言師
野村 萬
のむら・まん
昭和5年東京生まれ。25年四世野村万之丞を襲名。狂言だけでなく現代演劇などにも活動を博げ、『おしん』や『翔ぶが如く』などテレビドラマにも出演。平成5年七世野村万蔵を襲名、9年人間国宝に認定される。12年初世野村萬を名乗る。令和元年文化勲章受章。現在では狂言師としての活動や後進育成の傍ら、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会会長、日本藝術院会員、文化芸術推進フォーラム議長など多くの公職を務める。