日本を代表する作家・宮本 輝氏。25歳の時に突然発症した重度のパニック障害と長年闘いながら、『泥の河』『螢川』『流転の海』をはじめ、数多くのベストセラーを生み出してきた。紫野和久傳代表・桑村 綾氏。老舗の名料亭がひしめく京都で新参者は絶対に成功しないと言われながらも、独自の店づくりを追求し、一流ブランドを築き上げた。お二人が苦難の果てに掴んだもの。それは人生・仕事に真剣に生きるすべての人に大きな勇気を与えてくれる(写真:京都市内の高台寺和久傳にて)。
2020年開業38年を迎える高台寺和久傳。建物は数寄屋造りの名工・中村外二氏が手掛けた
紫野和久傳代表
桑村 綾
くわむら・あや
昭和15年京都府生まれ。証券会社勤務を経て、39年京丹後・峰山の老舗旅館「和久傳」に嫁ぐ。衰退した和久傳を立て直し、57年京都市内の高台寺に店を構える。現在は料亭の他、茶菓席やむしやしないの店舗を展開し、百貨店ではおもたせとして弁当や和菓子、食品を販売。京丹後の地域活性事業として「和久傳ノ森」づくり、物販商品の工房開設などを行う。
作家
宮本 輝
みやもと・てる
昭和22年兵庫県生まれ。45年追手門学院大学卒業後、広告代理店入社。重度のパニック障害となり退職し、作家を目指す。52年『泥の河』で太宰治賞を受賞し作家デビュー。翌53年『螢川』で芥川賞を受賞。一時結核療養のため休筆。『優駿』で歴代最年少40歳で吉川英治賞を受賞、平成21年『骸骨ビルの庭』で司馬遼太郎賞、22年紫綬褒章受章。30年『野の春』を刊行し37年にわたって執筆を続けた『流転の海』シリーズ全九巻完結。令和2年旭日小綬章受章。最新刊に『灯台からの響き』(集英社)。