一面に広がる18ヘクタールの山地(やまち)を、牛たちが気の赴くままに草を食み、歩き回る……。大地に根差したこの牧場で生まれる牛乳が、常識を超えた〝奇跡〟を起こしている。恩師・猶原恭爾博士が最後の希望を託した「山地酪農」理論に日本の農業の光を見、10年間電線も通らない山林を開墾。今日に至らしめた吉塚公雄氏の50年の奮闘に迫った。
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田野畑山地酪農牛乳会長
吉塚公雄
よしづか・きみお
昭和26年千葉県生まれ。東京農業大学を卒業後の49年、岩手県下閉伊郡田野畑村に単身移住。平成8年「田野畑山地酪農牛乳」発売。21年田野畑山地酪農牛乳株式会社を設立。令和4年より現職。著書に『ひと草楽薬』(naturavia)、一家の軌跡を追った映画『山懐に抱かれて』(テレビ岩手)がある。