かつて地中海全域を支配し繁栄を築いた古代ローマ帝国は、ローマ人がローマたらしめているものを失ったから滅びたという。では、日本を日本たらしめているものは何だろうか。その一つは「勤勉・修養の精神」である。日本の最大の資源ともいうべき精神が失われつつあるいま、本誌連載陣の田口佳史氏、北 康利氏、横田南嶺氏のお三方に、先達の生き方を交えながら、日本を富国有徳の国にするための道筋を探っていただいた。
東洋思想研究家
田口佳史
たぐち・よしふみ
昭和17年東京都生まれ。新進の記録映画監督としてバンコク市郊外で撮影中、水牛2頭に襲われ瀕死の重傷を負う。生死の狭間で『老子』と運命的に出合い、東洋思想研究に転身。「東洋思想」を基盤とする経営思想体系「タオ・マネジメント」を構築・実践し、1万人超の企業経営者や政治家らを育て上げてきた。配信中の「ニューズレター」は海外でも注目を集めている。主な著書(致知出版社刊)に『「大学」に学ぶ人間学』『「書経」講義録』他多数。最新刊に『「中庸」講義録』。
作家
北 康利
きた・やすとし
昭和35年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業後、富士銀行入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券業務企画部長等を歴任。平成20年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。『白洲次郎 占領を背負った男』(講談社)で第14回山本七平賞受賞。著書に『思い邪なし 京セラ創業者 稲盛和夫』(毎日新聞出版)など多数。近著に『ブラジャーで天下をとった男 ワコール創業者 塚本幸一』(プレジデント社)がある。
臨済宗円覚寺派管長
横田南嶺
よこた・なんれい
昭和39年和歌山県新宮市生まれ。62年筑波大学卒業。在学中に出家得度し、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。平成3年円覚寺僧堂で修行。11年円覚寺僧堂師家。22年臨済宗円覚寺派管長に就任。29年12月花園大学総長に就任。著書に『人生を照らす禅の言葉』『禅が教える人生の大道』『十牛図に学ぶ』『臨済録に学ぶ』など多数。最新刊に『無門関に学ぶ』(いずれも致知出版社)。