2024年12月号
特集
生き方のヒント
インタビュー③
  • アクセルレイト21社長山岡彰彦

ギブ・ギブ・ギブ
&テイクの姿勢が
人生を切り開く

コカ・コーラ社の営業職としてセールス日本一を達成。ボトラー社から日本コカ・コーラ社への初の出向者となった山岡彰彦氏。入社当時は辛酸を舐める日々だったという氏は、いかにして日本一の頂へと上り詰めたのか。山坂を乗り越えてきた足跡を振り返っていただき、成功のヒントを探る。

この記事は約14分でお読みいただけます

営業の現場で培った学びを次の世代へ

——山岡さんは今年6月に自身の体験を赤裸々せきららつづった『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』をじょうされました。本書はどんな思いで世に出されたのでしょうか。

私は6年前に定年を迎えてからは、これまでの経験を踏まえて企業や大学で研修・講義を行ってきました。その中で常々感じていたのは、多くの人々が漠然と毎日を送っているということです。
ああなりたいと思いながらも、日々の忙しさにかまけ、何も行動を起こさないまま年齢を重ねてしまう。その結果、これまで会社で通用していたことも、社外では通用しない現実に気づく。自分が目指すものを明確にし、そこに向かって人や体験から主体的に学びを得ていかなければ、後々取り返しがつかなくなってしまうのです。

——何気なく毎日を送っているだけでは、自分の身にならないと。

ええ。かくいう私も、かつては毎日を漠然と生きる一人でした(笑)。けれど、営業の仕事を通して多くの人から教えをうにつれ、小手先のスキルやテクニックではない、自分を支える〝木の根〟のようなものが少しずつ養われたと実感しています。
つたないものですが、私が現場で泥くさく培ってきた学びを伝えることができれば、何かヒントを与えられるのではないか。自分の頭で考え、行動するきっかけにしていただきたい。そんな思いを本書に託しました。有り難いことに多くの方々から反響をいただき、感慨はひとしおでした。

——研修や講義を行う上で特に心掛けてきたことはありますか。

研修前に必ず伝えることが3つあります。1つ目は、全体をかんして物事を捉えること。2つ目は、ビジョンを明確に持って、目標に向かうこと。そして3つ目は、自分事にして実行しなければ、何も変わらないということです。
実は、研修の学びを実践に移す人は約30%、そのうち実践し続ける人はわずか5%といわれています。自分の命ともいえる大切な時間を削って参加しているにもかかわらず、研修を受けるだけで満足してしまう。これほどもったいないことはありません。また残念ながら、多くの企業では未だにきちんとした人財育成の戦略がないまま、単発的に研修が行われています。
この現状をなんとかしたいと考え、ビジョンを明確にするプログラムをはじめ、内発的動機を高める創意工夫を凝らしています。全体を俯瞰して物事を捉え、ビジョンを明確に持ち、目標に向かって実行しなければ、何も変わらない。人も会社も同じだと思います。

アクセルレイト21社長

山岡彰彦

やまおか・あきひこ

昭和32年生まれ、高知県出身。55年大学卒業後、四国コカ・コーラボトリング社に入社。平成7年日本コカ・コーラ社主催の全国セールスフォースコンテストで第一位を獲得後、ボトラー社から初の日本コカ・コーラ社への出向者となる。同社の教育機関で営業担当の教育に携わり、グループ企業の経営企画室長を務める。現在は複数の大学での講義、多数の日系・外資系企業で研修を行っている。著書に『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(講談社+α新書)がある。