日本を代表する盆栽作家・小林國雄氏、74歳。人よりも10年以上遅く28歳の時に独学で修業を始めたにも拘らず、持ち前の貪欲さと素直さで日本盆栽作風展にて最高賞の内閣総理大臣賞に4度も輝き、文化庁長官表彰を受賞した名匠である。何と一鉢1億円の値がつくほどの作品を生み出す。氏の評価は海外でも高く、私財を投じてつくった美術館には年間3万5千人が訪れ、著名人のファンや弟子入り志願者も多いという。しかし、決して順風満帆な歩みを辿ってきたわけではない。一時は自ら命を絶つことを考えるほどの辛酸を嘗めながらも、いかなる心構えで道を切り拓いてきたのか。その波瀾万丈な半生と共に、仕事の流儀に迫った。
盆栽作家
小林國雄
こばやし・くにお
昭和23年東京都生まれ。都立農産高等学校園芸科卒業後、家業の園芸農家へ。51年盆栽作家の道を志す。平成元年に日本盆栽作風展で「内閣総理大臣賞」を受賞したことを皮切りに、同賞を4回受賞、皐樹展で「皐樹展大賞」を6回受賞。国風盆栽展において「国風賞」を16回手掛け、200人以上の入選者を育てる。14年春花園BONSAI美術館開館。令和2年文化庁長官表彰。盆栽と水石を飾る作法「景道」の家元三世を4年に継承。最新刊に3部作の集大成となる『盆栽芸術 ―人―』(アジア太平洋観光社)。