2022年1月号
特集
人生、一誠に帰す
インタビュー②
  • 鎌倉彫師範蒲田敏子

海のような広い心を
もって生きる

100年の人生が教えてくれたこと

〝人生百年時代〟を迎え、第二、第三の人生をどう生きるかが切実に問われている。そんな中、2021年100歳を迎えた横浜市在中の蒲田敏子さんは、病気知らず医者知らずで、いまなお鎌倉彫の師範や地元コーラス隊のメンバーとして生涯現役の充実した毎日を送っている。楽しいこと、苦しいこと、辛いこと……100年の人生の山坂を越えてきた蒲田さんが語った、いつまでも健康でイキイキ輝いて生きる要諦とは——。

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100年病気知らず医者知らず

——蒲田かつきたさんは2021年5月に100歳を迎えられました。100歳になるいまなお、鎌倉彫かまくらぼり師範や地元コーラス隊のメンバーとして生涯現役を貫かれているそうですね。

「老人の日」に、内閣総理大臣からお祝い状と記念品の銀杯を、横浜市長には祝電・お祝い状をいただきました。何だか、100年生きてきたのがうそのようです。
ただ、とにかく100年、病気知らず医者知らずで生きてこられたことが何よりも嬉しくて……。最初に私が毎日続けている健康法を少しお話しさせていただきます。
朝、目が覚めたら、まず一番に「昨日と体調が同じだから大丈夫だわ」って思うんです。それからベッドに寝たまま腹筋体操を始めるんですけど、私は何事も数字を数えながらやるのが大好きで、特に8の倍数を数えるのが癖になっています。そして腹筋体操が終わると、棍棒こんぼうで足の裏を片方ずつ200回叩きます。その次は外の空気に触れて手足の体操をして、ベッドに腰かけて乾布摩擦をする。
どんなに暑くても寒くてもエアコンなぞつけず、頭から足先までもう一所懸命にやるんです。ここまでで30分ほどかかります。
で、朝食を食べて後片づけをした後は、坐禅とまではいきませんけど、姿勢と呼吸を正し、先立たれた方々の姿を思い出しながら10分くらい瞑想めいそうふける。瞑想が済んだら、ゴムひもを使い手足の筋肉を伸ばす体操をしておしまいです。
また夜にはベッドの中で「ありがとう、ありがとう」と唱えながら全身を手でさすって眠ります。

——自分の体に感謝を。まさに蒲田さんの健康長寿の極意ですね。

これまで風邪ひとつひかず元気で生きてこられたのも、「自分で決めたことは続ける」と心に決めて、何十年と健康法を続けてきたのが役に立ったのかなと、自分で自分を褒めております(笑)。

鎌倉彫師範

蒲田敏子

かつきた・としこ

大正10年神奈川県横浜生まれ。昭和9年横浜市立大岡尋常小学校卒業。14年神奈川県立横浜第一高等女学校(現・県立平沼高校)、16年神奈川県女子師範(現・横浜国立大学教育学部)卒業後、横浜市立磯子尋常高等学校教諭。30年より和田翡峰氏に、43年より星野光雄氏に鎌倉彫を師事。同年鎌倉彫菊花賞受賞。50年鎌倉彫師範免許。59年アメリカ大使公邸にて小作品展・デモンストレーション。