2022年8月号
特集
覚悟を決める
インタビュー③
  • リストランテ アクアパッツァ オーナーシェフ日髙良実

すべての原因は自分
そう開き直った時に
覚悟が決まった

東京・青山のリストランテ アクアパッツァ。同店のオーナーシェフであり、イタリアの地方料理を日本に広めたパイオニアとして知られるのが日髙良実氏である。創業から32年、名店の運営を通じて氏が追求してきたもの、そして、数々の試練を乗り越えて至った覚悟についてお話しいただいた。

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東京地方のイタリア料理を追求して

——東京の青山で営業される日髙さんのお店は、イタリアの郷土料理で人気を集めているそうですね。

イタリアで修業中に食べた、アクアパッツァという郷土料理にれ込みましてね。この感動をぜひ日本のお客様とも分かち合いたいと考えて、帰国後にアクアパッツァを定番メニューに据えたイタリア料理店「リストランテ アクアパッツァ」を始めました。今年(2022)で創業32年になります。

——アクアパッツァとはどんな料理ですか。

もともとは漁師のまかない料理で、焼いた魚をトマトと一緒に海水で煮るとてもシンプルなメニューです。当店ではこれに貝や野菜を加えるなど、日本人のこうに合う魚料理にアレンジしてお出ししているんです。

——日本人向けにアレンジを。

イタリアで3年間、北から南まで14か所のお店で修業をして実感したのが、その土地のものをシンプルに生かすのがイタリア料理のよさだということでした。帰国したら日本の四季折々の素材を生かそうと考えて、日本のお客様に喜んでいただけるクチーナ・トキオネーゼ(東京地方のイタリアン/日髙氏の造語)を追求してきたんです。
ですからオープン以来、日本の素材を理解し、愛情を持って生かしていくことには徹底してこだわってきたのですが、それが自然栽培やオーガニック食材へも結びついていきました。2018年に「オーガニックレストラン認証」、2020年に「オーガニックJASレストラン認証」を取得して、生産者の方々の思いをよい料理を通じてお客様にお伝えすることにも取り組んでいるんです。

リストランテ アクアパッツァ オーナーシェフ

日髙良実

ひだか・よしみ

昭和32年兵庫県生まれ。調理師学校卒業後、神戸ポートピアホテル「アラン・シャペル」などを経て、61年よりイタリアで修業。平成元年帰国、「リストランテ山﨑」料理長就任。2年「アクアパッツァ」料理長。15年同店のオーナーシェフに。著書に『教えて日高シェフ! 最強イタリアンの教科書』(世界文化社)など。