画家の安野光雅氏は、応召の一時期を除いて幼少期からこれまで絵を描かなかった日は一日もないという。常にアイデアを巡らせ、新しい作品に取り組もうという芸術家魂は91歳のいまも健在である。今年(2017年)6月、京丹後に「森の中の家 安野光雅館」をオープンさせた桑村 綾さんも、老舗の和久傳を再建し、おもてなしの道を一途に追及してきた名女将として知られる。仕事は遊びに通じると語るお二人に、これまでの歩みを振り返りながら、現在の心境を語り合っていただいた。
画家
安野光雅
あんの・みつまさ
大正15年島根県生まれ。昭和23年代用教員として山口県周南市の小学校に勤める。25年美術教師として上京、玉川学園や三鷹市、武蔵野市の高校で美術教師を勤め、36年画家として独立。文章がない絵本『ふしぎなえ』で絵本界にデビュー。『さかさま』『ABCの本』『旅の絵本』(いずれも福音館書店)などは海外でも評価が高い。ブルックリン美術館賞、ケイト・グリナウェイ賞特別賞、BIBゴールデンアップル賞、国際アンデルセン賞画家賞、紫綬褒章など受賞歴多数。
和久傳女将
桑村 綾
くわむら・あや
昭和15年京都府生まれ。証券会社勤務を経て、39年に和久傳に嫁ぐ。丹後・峰山の衰退した和久傳を立て直し、62年には京都・高台寺に店を構える。現在は料亭業態の他、茶菓席やむしやしないの店舗を展開しており、百貨店でもおもたせとして弁当や和菓子・食品を販売している。京丹後の地域活性事業として「和久傳の森」づくり、物販商品の工房開設などを行っている。今年6月には「森の中の家 安野光雅館」をオープン。