2023年7月、福岡で開催された世界水泳選手権にて、日本アーティスティックスイミング界の絶対的エースと名伯楽が一躍脚光を浴びた。
ソロ種目で2個の金メダルを獲得し、2大会連続2冠の偉業を成し遂げた乾友紀子さんと、その専属コーチとして指導に当たった〝メダル請負人〟の異名を取る井村雅代さん。
東京五輪での悔しさを糧に、二人三脚で特訓の日々を積み重ねてきたという。いかなる努力によって自己を磨き、世界の頂点を掴んだのか。
お二人の戦いの軌跡から、勝利する者の条件を探る。
この記事は約24分でお読みいただけます
井村アーティスティックスイミングクラブ代表理事
井村雅代
いむら・まさよ
昭和25年大阪府生まれ。中学時代よりシンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)を始める。選手時代は日本選手権で2度優勝し、ミュンヘン五輪の公開演技に出場。天理大学卒業後、大阪市内で教諭を務める傍ら、シンクロの指導にも従事。53年日本代表コーチに就任。平成18年より中国、イギリスの指導を経て、26年日本代表ヘッドコーチに復帰。28年リオデジャネイロ五輪ではデュエット、団体とも銅メダルに導く。令和3年東京五輪では4位入賞。五輪でのメダル獲得数は通算16個。著書に『井村雅代コーチの結果を出す力』(PHP研究所)など。
世界水泳選手権2023福岡アーティスティックスイミング女子ソロ金メダリスト
乾 友紀子
いぬい・ゆきこ
平成2年滋賀県生まれ。小学校1年生の時にシンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)を始める。6年生の時から井村シンクロクラブに所属。平成18年世界ジュニア選手権に出場し、3種目で銅メダル。2年後の世界ジュニア選手権ではデュエットで銀メダル、チームで銅メダルを獲得。21年立命館大学入学、この年より日本代表入り。五輪には24年ロンドン、28年リオデジャネイロ、令和3年東京の3大会に出場し、リオ五輪ではデュエット、チームで銅メダルを獲得。東京五輪後はソロに専念し、4年ブダペスト大会と5年福岡大会で共に2冠を達成した。