医は仁術なり、とは古来日本に伝承されてきた格言である。身体の病気を治すことに留まらず、人を思いやり、仁愛の徳を施すことが医の道だという。この格言を体現するようにして、共にこれまで幾1,000人もの小児心臓手術を手掛け、尊い命を救ってきた龍野勝彦氏と高橋幸宏氏。お二人の名医はどのような心構えで日々仕事に向き合っておられるのか。恩師の教えや忘れ得ぬ患者さんとのエピソード、長年にわたる真剣勝負の中で掴んだ「仕事の流儀」に迫った。
タツノ内科、循環器科院長
龍野勝彦
たつの・かつひこ
昭和17年東京生まれ。42年千葉大学医学部卒業後、東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科医員。榊原仟氏の門下生となる。52年8月、榊原氏に呼ばれて財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院の開設に参画し、同年11月の開設と同時に外科部長となる。平成2年副院長。以後、千葉県立鶴舞病院副院長、千葉県循環器病センターセンター長、同名誉センター長、榊原記念病院特命顧問を歴任。20年タツノ内科・循環器科院長就任。医学博士。著書に『君、それはおもしろい。はやくやりたまえ』(日経BP社)。