2021年10月号
特集
天に星 地に花 人に愛
インタビュー③
  • 宮田運輸社長宮田博文

信はいずれ愛となり、
愛はやがて和となる

「愛は経営の魂」、そう断言するのが大阪を中心に運送業を営む宮田運輸社長の宮田博文氏。ある死亡事故をきっかけに、管理型経営から「心をベースにした経営」に180度切り替え、子供たちの絵がラッピングされたトラックで荷物を運んでいる。「愛で行ったことは愛で返ってくる」と語る宮田社長に、その改革の全容を伺った。

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子供たちの絵が国内外を駆け巡る

——宮田運輸さんといえば、子供たちの絵がラッピングされたトラックで有名ですね。

「こどもミュージアムプロジェクト」と言って、交通事故をなくしたい一心で2014年に始めた取り組みです。子供たちが書いた絵を大きく引き延ばしてトラックに貼っただけですが、たった一枚の絵を背負っただけで、驚くほど様々な変化が現れました。
まるで自分の子供を乗せて運転しているような感覚になるのか、ドライバーたちは無理な運転をしなくなりましたし、トラックはいつも洗車されていてピカピカ。ドライバーだけでなく、周囲からの反応も変わりました。
高速道路で追い抜かれぎわにご婦人が助手席から振り返って笑顔で手を振ってくれた、「仕事でイライラしていた帰り道、御社のトラックを見て心が穏やかになりました」と手紙が届くなど、社内外から嬉しい声が寄せられています。

——運転する人だけでなく、周囲をも感化しているのですね。

それこそが私たちが一番やりたいことなんです。やはり、交通事故は一社だけが変わったところでなくなりませんから、社会全体をよくしていくためにも、「やさしいきもちがみらいをつくる」を合言葉に、全世界に広まってほしいと願い活動しています。

宮田運輸社長

宮田博文

みやた・ひろふみ

昭和45年大阪府生まれ。高校卒業後、祖父が創業した宮田運輸に入社。運転士、専務などを経て平成24年社長に就任。19年には京セラ創業者・稲盛和夫氏が主宰する経営塾「盛和塾」に入塾。26年「こどもミュージアムプロジェクト」を開始。令和2年盛和塾の後継として誕生した実践経営者道場「大和」代表世話人に就任。著書に『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』(かんき出版)がある。