2026年12月号
特集
住するところ
なきを
花と知るべし
インタビュー①
  • カガヤ前会長、カガヤ建設社長加賀谷輝雄

経営は
意志である

岩手県盛岡市を本拠地に、ファブリケーター(鉄骨事業者)として「新国立競技場」「虎ノ門ヒルズ」をはじめとした建築物を支えるカガヤ。来年(2027年)創業60年の節目を迎え、売上高は約280億円、従業員数は約400名に及ぶ。しかし、創業者である父親の急逝を受け、加賀谷輝雄氏が24歳で同社の舵を取った時は、社員数名の小さな鉄工所だった。貧乏や逆境に耐え、這い上がってきた歩みを辿りながら、組織を繁栄に導く秘訣に迫る。

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    カガヤ前会長、カガヤ建設社長

    加賀谷輝雄

    かがや・てるお

    昭和25年岩手県生まれ。41年山田中学校卒業後、飲食店勤務を経て、加賀谷鉄工所(現・カガヤ)に入社。49年社長就任。平成25年会長就任。30年「岩手日報文化賞(産業部門)」授与。令和2年会長退任。現在はグループ会社のカガヤ不動産で会長、カガヤ建設で社長を務める。

    感動する製品をつくるその思いで歩み来て60年

    ――「虎ノ門ヒルズ」を筆頭に、国内有数のランドマークの鉄骨を手掛ける会社が岩手県盛岡市にあると伺い、やってまいりました。

    カガヤは経営理念「会社の発展がお客様や地域のおかげであるとの感謝を忘れず 事業を通じ感動を届ける企業を目指す」を旗印に、建築物に用いる鉄骨の設計から製造、施工までを一気通貫で手掛けてきました。息子の浩一に事業継承し、私は2020年に会長職を退きましたが、76歳のいまなおグループ会社のカガヤ建設やカガヤ不動産の経営を担い、毎日6時に出社しています。

    ――来年創業60周年の節目を迎えるそうですね。

    小さな鉄工所からスタートしたことを思うと、よく潰つぶれなかったなというのが本音です。私は運がよくて、岐き路ろに立つ度に必ず手を差し伸べてくださる方が現れるんです。おかげさまで全国の建設現場から依頼が舞い込み、2025年の売上高はグループ全体で約280億円、従業員数は400名を超える規模に成長しました。

    ――今日まで発展し続けてきた要因はどこにあるのでしょうか。

    常に心懸けてきたのは、感動する製品をつくること。創業期は素人同然で、「こんな出来映えでよくお客様からお金をいただけるよな」とうなだれていました。それがもう悔しくてね。
    お客様が感動してくださる以前に、自分たちの製品に感動しなければ意味がない。「これは俺たちがつくったんだ」と誇れるモノをつくって初めて、お客様に喜んでいただける。だからこそ、感動する製品を生み出すための環境を整えてきました。
    例えば、同業他社には鋼材の一次加工は下請けに任せる会社が多い一方、私たちは一次加工から完成まで、すべて自社工場で行います。これによって生産スピードをコントロールできるため、納期の遅延はまず起こりません。さらに、高い内製比率のおかげで隅すみ々ずみまで目が行き届き、品質管理の徹底と業務効率向上に繋つながっています。
    絶えず技術力も磨き、昨年には鉄骨工場の製造能力や設備、技術者の人数に応じて決まる国の認定制度において、最上位の「Sグレード」に認定されました。東北に数多あまたの鉄骨業者がある中で、Sグレードは当社しかありません。
    こうして愚直に、感動するモノづくりを追求してきたので、それが長生きできている秘ひ訣けつじゃないかと思います。

    一次加工から完成まで、すべて自社工場で手掛けるカガヤの鉄骨。感動する製品を目指し、品質管理を徹底している