2016年5月号
特集
視座を高める
インタビュー①
  • 生活の木代表取締役CEO重永 忠

半径1㍍の人から
幸せにする

ハーブ・アロマテラピー業界のリーディングカンパニーとして知られる生活の木。健康に寄与するとして注目を集めているハーブだが、事業をスタートした37年前、その存在は全く認知されていなかった。そんな状況下でなぜハーブに着眼したのか。いかにして普及させてきたのか。重永 忠氏に事業発展の秘訣と経営に懸ける思いを伺った。

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「ハーバルライフ」が健康な社会をつくる

──オフィスに一歩入った瞬間、緑の空間とアロマの香りにとても癒やされました。

五感でリラックスしていただけるオフィスにしようというのが我われのこだわりなので、そう言っていただけて嬉しいです。

──重永社長が率いる「生活の木」は、ハーブ・アロマテラピー業界のリーディングカンパニーとして注目されていますね。

我が社は、世界51か国の提携農園から厳選したオーガニックハーブやエッセンシャルオイルなど、約2,500もの商品を製造・加工・販売しています。売上高は83億円、社員730名を抱えており、全国120店舗の直営店のほか、ハーブガーデン、サロン、カルチャースクールなどの事業を通じて、ハーブのある暮らし「ハーバルライフ」を提案しているんです。

──ハーバルライフですか。

いまから37年前、私が18歳の時にこの事業は始まったんですが、当時ハーブの認知度は全くといっていいほどありませんでした。そこから女性を中心に趣味や楽しみの一つとして、徐々に広がってきたんです。ただ、これからは、健康であり続けるための一つの生き方として、老若男女を問わず受け入れられていくと思っています。
高齢化社会の中で、健康寿命をいかに延ばすか。あるいはストレス社会の中で、心の健康をどう保つか。そこに対して我われの事業で何か貢献できるんじゃないかと。
その一つとして、環境芳香に力を入れていましてね。いまもこの部屋では、合成の香りじゃなくて、天然植物から搾り取った純度100%のエッセンシャルオイルを炷いています。
例えば、午前中は柑橘系の香りを流すと作業効率が上がるとか、ミント系とティートゥリー系の香りには殺菌効果があって、インフルエンザに感染しにくいとか、朝はレモンとローズマリー、夜はオレンジとラベンダーの香りをそれぞれ2対1でブレンドして流すと認知症の予防になるとか、様々な効果が実証されているんですよ。

──それはすごいですね。

そこで学校や商業施設、ホテル、駅といった公共空間に自然の香りを流そう、少しでもリラックスしていただこうということで、商業施設やホテルなどで既に実用していただいています。

生活の木代表取締役CEO

重永 忠

しげなが・ただし

昭和36年東京都生まれ。53年アルバイトとして家業の仕事に従事。58年東京経済大学卒業後、大手流通業入社。その後、経済産業省中小企業大学校を経て、平成12年生活の木代表取締役に就任。著書に『まかせる経営』(PHPビジネス新書)などがある。