甲斐の山懐に包まれた辺縁の地に、1300年もの歴史を刻んできた西山温泉慶雲館。度重なる自然災害にも屈することなく、「世界で最も古い歴史を持つ宿」としてギネスブックにも認定されるに至った要因は何か。その歴史と共に、同館の運営に奮闘してきた川野健治郎氏の運鈍根の歩みを、長年老舗企業の研究を重ねてきた田中真澄氏に繙いていただいた。
南アルプス東麓の標高800メートル、早川の渓谷の畔に佇む慶雲館。「世界最古の宿」としてギネスブックに認定されている
西山温泉慶雲館社長
川野健治郎
かわの・けんじろう
昭和34年宮崎県生まれ。高校卒業後に上京し、㈲西山温泉慶雲館入社。59年より同社が運営する慶雲館勤務。平成29年、同館の運営会社となった㈱西山温泉慶雲館社長に就任。
社会教育家
田中真澄
たなか・ますみ
昭和11年福岡県生まれ。34年東京教育大学(現・筑波大学)卒業後、日本経済新聞社入社。日経マグロウヒル社(現・日経BP社)に出向し、『日経ビジネス』の創刊業務に携わり、販売手法の確立に尽力する。54年独立し、ヒューマンスキル研究所を設立。社会教育家として講演・執筆活動を展開。講演回数は7,000回を超える。著書に『百年以上続いている会社はどこが違うのか?』(致知出版社)など多数。