名人——どの分野にも、そう呼ばれる一流人がいる。才能や技術だけでは辿り着けないその特別な境地に達した人を各界に求め、鋭い論評を展開してきた山本益博氏。名人を頂点とする将棋の世界で鎬を削りつつ、藤井聡太2冠を筆頭に優れた弟子の育成でも注目を集める杉本昌隆氏。一流の人物をつぶさに見てきたお二人に、そこに至る条件について語り合っていただいた。
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料理評論家
山本益博
やまもと・ますひろ
昭和23年東京都生まれ。47年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版される。57年に『東京・味のグランプリ200』を出版して以来、日本で初めての「料理評論家」として活躍中。著書に『イチロー 勝利への10ヵ条』(静山社文庫)など多数。
将棋棋士
杉本昌隆
すぎもと・まさたか
昭和43年愛知県生まれ。昭和55年六級で故・板谷進九段に入門。平成2年四段に昇段しプロデビュー。平成31年八段。第77期順位戦で史上4位の年長記録となる50歳でのB級2組昇級を果たす。地元の東海研究会では幹事、また杉本昌隆将棋研究室を主宰。藤井聡太の師匠としても知られている。著書は専門書の他に『弟子・藤井聡太の学び方』(PHP研究所)など。