京の都に食通を唸らせる日本料理の名店がある。茶店をルーツに400年もの歴史を刻んできた瓢亭は、日本はもとより世界からも注目を集めている。野の草や旬の野菜を生かした独創的な料理を提供する草喰なかひがしは、京都で1番予約の取りにくい店ともいわれている。両店を営む高橋英一氏と中東久雄氏はかねて昵懇の間柄。料理の道に情熱を傾けるお二人の率直な語らいを通じて、一流の条件を探った。
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瓢亭第14代当主
髙橋英一
たかはし・えいいち
昭和14年京都府生まれ。同志社大学卒業。東京と大阪で3年間修業。39年より瓢亭勤務。42年瓢亭第14代を継承。料亭として、また流派を超えた様々な茶事懐石に携わる料理店として暖簾を守る。平成4年京都府優秀技能者表彰(京都府の「現代の名工」)受賞。19年厚生労働大臣卓越技能者表彰(国の「現代の名工」)受賞。22年黄綬褒章受章。25年京都府指定無形文化財保持者認定。30年旭日小綬章受章。著書に『京都・瓢亭─懐石と器のこころ』(世界文化社)『懐石入門』、監修に『懐石料理基礎と応用』(共に柴田書店)ほか。
草喰なかひがし店主
中東久雄
なかひがし・ひさお
昭和27年京都府生まれ。摘草料理で知られる料理旅館「美山荘」で生まれ育ち、少年期から家業の手伝いに勤しむ。高校卒業後、本格的に料理の道に入り美山荘に27年間勤務。平成9年に独立して「草喰なかひがし」を開業。24年農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」でブロンズ賞、29年同シルバー賞、28年京都和食文化賞受賞。著書に『草菜根―そしてご飯で、ごちそうさん』(文化出版局)『おいしいとはどういうことか』(幻冬舎新書)。