〝いけばなの根源〟である華道家元・池坊。その560年にわたる伝統の「技」と「心」を、今日に伝え続けているのが45世を継いだ池坊専永氏である。氏の90年の歩みには花の一生と同じく、種から萌芽し、蕾の時代を経て大きな花を開かせ、そして後世へ向けて種を残す時期が存在している。その足跡を辿りながら、人生における四季とは何かを考えてみたい。
華道家元45世
池坊 専永
いけのぼう・せんえい
昭和8年京都市生まれ。20年先代である父の死去に伴い、11歳で華道家元を継承すると同時に得度。20年比叡山中学に入学。僧侶の修行のため比叡山・坂本にある慈照院(当時)にて生活する。厳しい修行を重ね、20歳の時に六角堂(紫雲山頂法寺)住職に就任。31年同志社大学卒業。52年にいけばなの新しい型である「生花新風体」を、平成11年に「立花新風体」を発表。18年文化普及の功労により、旭日中綬章を受章。著書に『池のほとり』(日本華道社)など。