2018年4月号
特集
本気 本腰 本物
インタビュー②
  • 特殊戦指導者伊藤祐靖

大切なもののために、
何かを諦める覚悟が
本物をつくる

自衛隊初の「特殊部隊」創設に携わった伊藤祐靖氏。任務完遂のためなら命を失うことも厭わない特殊部隊員を育成するとともに、自らもまた過酷な訓練を課してきた伊藤氏に、特殊部隊創設の経緯、与えられた任務を完遂できる「本気 本腰 本物」の人材、組織をつくる要諦をお話しいただいた。

この記事は約15分でお読みいただけます

日常に生きる特殊部隊の経験

——伊藤さんは自衛隊初となる「特殊部隊」を創設した経験を生かして精力的にご活躍ですが、現在は後進の指導に力を入れていると伺っています。

そうですね。いま週刊誌の連載をしていて、結構時間を取られているのですが、普段は主に私塾で後進の指導に取り組んでいます。自衛官や警察官などその道のプロであれば、刃物でも銃の撃ち方でも、私の知っている技術や経験をできる限り教えています。
  
——私塾というと、どこかの道場などで訓練しているのですか。

特定の道場などはありません。例えば逮捕術をたたみの上でやっても仕方がないですよね? 警察は普通アスファルトの上で犯人を逮捕します。ですから訓練も実際の道路などでやります。水中の技術なら、海や池でやるんです。
  
——実際の状況を想定して訓練しないと意味がないと。

あとは企業のアドバイザーや潜水機材メーカーのデモンストレイターの仕事もやっています。
警備会社なら、警備計画に対してこの場所にはこの技術を持った警備員を配置したほうがいいとか、潜水機材メーカーであれば、この商品はもっとこう改良したほうが使いやすいといった感じです。
それから、企業の幹部向けのセミナーですね。私が実際に特殊部隊を創設する上で行ってきた方法を紹介しながら、どうすればリーダーシップやチームワーク力を発揮できるかなどを伝えています。
  
——特殊部隊で培った経験やノウハウは、日常でも生かせると。

特殊部隊というとすごそうに聞こえますが、実際は普通の人の集まりであり、その人たちをいかにやる気にさせ、訓練し、任務に粉骨砕身ふんこつさいしんさせるかなんです。ですから、社員の教育であれ、学校や塾での教育であれ、本質的な部分では同じだと思うんですね。

特殊戦指導者

伊藤祐靖

いとう・すけやす

昭和39年東京都生まれ。日本体育大学卒業後、海上自衛隊に入隊。「みょうこう」航海長在任中の平成11年3月、能登半島沖不審船事件を体験。これを機に自衛隊初の特殊部隊「特別警備隊」の創設に関わる。19年、2等海佐で退官。現在に至る。著書に『国のために死ねるか』(文藝春秋)など。