2026年12月号
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  • バレリーナ永久メイ

昨日の自分より
一歩でも上に

果てなきバレエの道を求めて

世界五大バレエ団の一つ、世界最高峰の歴史と伝統を誇るロシアの名門マリインスキー・バレエ。ここで日本人初のファースト・ソリストとして活躍する女性がいる──。永久メイさん、26歳。僅か17歳で異例の入団を果たし、以来約10年に亘って多くの観客を魅了し続けてきた。9月、ロシアから一時帰国し、「白鳥の湖」の主役デビューを飾った永久さんに、バレエに懸ける想い、高みを目指し続ける歩みを伺った。

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    バレリーナ

    永久メイ

    ながひさ・めい

    2000年兵庫県生まれ。13歳からモナコ王立グレースバレエ学校に4年間留学し、卒業と同時に研修生としてマリインスキー・バレエに加入。2018年に18歳でセカンド・ソリストに昇格。2021年にファースト・ソリストに昇格。2020年には『Forbes JAPAN』の「世界を変える30歳未満の30人」に選出された。

    9月9日(水)より8日間に亘わたり、全国4か所で行われた東京バレエ団主催の「白鳥の湖」。内、3公演で主役を務めた永久さんは本公演の主役デビューのため、所属するロシアのマリインスキー・バレエの夏休み期間に一時帰国した。インタビューは東京バレエ団の本部にて行われた。

    母国で踊った「白鳥の湖」

    ――日本で「白鳥の湖」の主役デビューという大役を務められましたが、2日間の公演を終えてみて、いまの心境をお聞かせください。

    1日目はやっぱり一瞬だったんですよ。すごく集中していたし、アドレナリンが出ていて自分がどう踊ったかを覚えていないくらい。2日目は舞台上で遊べたというか、楽しめたなって思います。
    それからこれは初めての経験だったのですが、スタンディング・オベーションを舞台から見た時に込み上げてくるものがありました。これまで役の感情に入り込んで感動することはあっても、舞台で泣くことはなかったんです。
    「白鳥の湖」を母国で踊ることができたんだと、お辞儀をする時に自然と涙が溢あふれました。一生心に残る舞台になったと思います。

    ――それほど特別な作品だったのですね。

    「白鳥の湖」は1800年代後半にロシアで発表されて以降、世界中のバレエ団で改訂を重ねながら上演されてきた伝統ある作品です。
    夏休み期間にロシアから帰国し、準備に充あてられた時間は1か月。だからこそ「集中しなきゃ」という思いで、自分の演じたい白鳥や黒鳥を映像を見ながらイメージし、朝起きてから夜寝るまでずっと研究を重ねました。

    ――四六時中、作品のことを考え続けていた。

    「白鳥の湖」の特徴は純粋で気品のある王女・オデット(白鳥)と、そのオデットに似せて王子を誘惑し、裏切らせるオディール(黒鳥)の二役を一人で演じるところです。これまでの私は可愛らしい女の子の役が多く、白鳥はイメージしやすかったと思います。だからこそ黒鳥でいかにそのイメージを覆くつがえせるか、違った自分を見ていただけるかを目標に取り組んでいました。
    当日は母も客席にいたのですが、すごくびっくりしていましたね。鳥肌が立って、ずっと泣いていて、1日目はまともに観られなかったって。「白鳥の湖」はバレエをやっていた母の夢でもあったので、母国で観てもらえて嬉しかったです。
    でも、そこで自分を甘やかしたくないので、いまはもう次の課題を見つけて歩み始めています。

    9月9日、新国立劇場オペラパレスにて上演された東京バレエ団ブルメイステル版「白鳥の湖」©Koujiro Yoshikawa