我が国の歴史を紐解けば、そこには私たち日本人の心を打つ史実が数多く存在する。楠木正成とその子正行の別れを描いた「桜井の別れ」もその一つであり、時代を超えて多くの日本人に愛されてきた。父と子の理想像と目される歴史の一場面はどのように誕生したのか。中世日本史に詳しい生駒孝臣氏に、当時の時代背景を踏まえて語っていただいた。
大阪市史料調査会調査員
生駒孝臣
いこま・たかおみ
昭和50年三重県生まれ。大阪教育大学教育学部卒業。平成12年名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程日本史学専攻修了。21年関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程日本史学専攻修了。博士(歴史学)。現在、大阪市史料調査会調査員、関西学院大学及び関西大学等で非常勤講師を務める。著書に『楠木正成・正行』(戎光祥出版)など。