300年余の伝統を誇る長唄三味線の伝承者・杵屋響泉さんは御年107歳。名人として名を馳せた父の導きにより、4歳でこの道に入って以来、弛まぬ努力、精進によって技と心を磨き続け、いまなお現役奏者として活躍を続けている。まだ見ぬ高みを目指し、自身のすべてを懸けて前進し続ける求道者に、この芸に懸ける思いを伺った。
長唄三味線方演奏家
杵屋響泉
きねや・きょうせん
大正3年東京府生まれ。『島の千歳』『新曲浦島』等の作曲で知られる五世杵屋勘五郎の一人娘として、4歳で長唄の手ほどきを受け、10代から後進の育成に尽力。昭和38年より「杵屋響泉」を名乗る。平成17年長唄協会より永年功労者として表彰。29年文部科学省より伝統長唄保存会、重要無形文化財長唄保持者に認定。31年文化庁長官表彰。105歳で『一〇五 娘がつなぐ五世勘五郎の長唄世界』でCDデビューを果たす。