縄文時代から続く日本の漆文化の歴史と伝統を継承しつつも、卓越した技法と斬新なデザインに絶えず挑戦し、人々を魅了し続けてきた漆芸家・室瀬和美氏。漆とともに50年以上歩んできた室瀬氏が語る、漆との出逢い、師の教え、そして漆の素晴らしさ——(写真:蒔絵螺鈿硯箱「椿」を前に
〈縦24.5、横17.3、高4.6センチ/2005年制作〉)。
漆芸家、人間国宝
室瀬和美
むろせ・かずみ
昭和25年東京都生まれ。父は漆芸家の室瀬春二。51年東京藝術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了。国内外の展覧会に作品を発表するとともに、漆芸文化財保存に携わり、金比羅宮天井画復元、琉球古楽器復元等において失われた技法の復活に務め、正倉院宝物の分析でも功績を残す。平成20年重要無形文化財保持者(蒔絵)認定、紫綬褒章受章。『漆の文化』(角川選書)『室瀬和美作品集』(新潮社図書編集室)などの著書がある。