2019年10月号
特集
情熱にまさる能力なし
インタビュー②
  • マックス社長大野範子

諦めなければ必ず道は開ける

5度にわたるがんの発症と余命宣告──。この究極の状況下で、どれほどの人が希望を失わず、前へ進み続けることができるだろうか。10年前の社長就任直後、巨大な病魔に行く手を阻まれた大野範子さんは、これを見事に克服し、現在100年企業の事業変革に邁進している。ご自身を突き動かす情熱の源についてお話しいただいた。

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弱いお肌の強い味方に

——会社経営でご活躍の大野さんですが、以前は大病をわずらっておられたそうですね。

平成21年に父親から当社の経営を引き継いだ直後にがんを発症しました。その後4度にわたって転移を繰り返して、お医者様からは余命宣告まで受けました。

——いまのお元気な様子からは想像もできません。

最後の治療が終わってからもう7年になりますけど、あれ以来がんはまったく出ていませんし、薬も飲んでいません。大阪の本社と東京はしょっちゅう行き来していますし、海外出張もしていて、闘病以前より精力的に活動しているため、社員から「あまり無理せんといてください」と言われるくらいです(笑)。
当社は今年創業114年を迎え、私より年配の社員も多いのですが、大病を患ったおかげで皆がそんなふうに若い私を心配し、支え続けてくれているのは、とてもありがたいことだと思っています。

——ご病気のことを詳しく伺う前に、まず御社の概要を教えてください。

当社は明治38年に私の曽祖父が大阪で創業しました。長年「レモン石鹸せっけん」など、固形石鹸の製造販売を中心に手掛けてきましたが、社会環境も大きく変わってきましたので、いまは経営理念にひもづく事業活動に皆で力を注いでいます。

——どんな理念を基に、事業活動をなさっているのですか。

理念の2番目に掲げている「商品・サービスを通じて、お客様の悩みを解決し、お客様に笑顔をお届けする」に基づいて、まず体の臭い、それからお肌のトラブルに悩んでいらっしゃる方に寄り添う洗顔フォームやボディソープ、また最近は冷え性に悩む方のために、体の代謝を高める入浴剤の開発に力を注いでいます。ほとんどがお風呂の中で使っていただく商品ですけど、これらに加えて保湿用の化粧品など、お風呂から出た後のお悩みを解決する商品開発も進めています。
現在の年商は22億円です。かつては収益の大半を固形石鹸でまかなっていましたけど、いまはこうした機能性商品が売り上げの54%を占めるまでになりました。

——目覚ましい変革を成し遂げてこられたのですね。

普段の生活の中に当社の商品を加えていただくことで、悩みがあって前へ出られない方の背中を押して差し上げることができればと願っています。
とは言っても、この分野は競合する商品がとても多いので、「やっぱりマックスのほうがいい」「マックスの商品を使ってよかった」と思っていただけるように、商品開発には皆で一所懸命知恵を絞りながら取り組んでいます。
幸い私どもの商品は誰もが普段使うものですから、社員皆が商品開発に関われます。
新しく商品を開発する度に、「ここはちょっと使いづらいな」「もう少しこうしたほうがいいんじゃない」といった声が全社から挙がって、これが一人ひとりの参画意識や愛社精神に結びついているのが当社の強みです。「弱いお肌の、強い味方に」「メイド・イン・マックス 世界のオンリーワン企業を目指そう」を合言葉に、お客様の悩みを解決する商品開発に全社一丸となって取り組んでいます。

マックス社長

大野範子

おおの・のりこ

昭和48年大阪府生まれ。甲南大学卒業後、香料メーカー勤務を経て、平成11年マックス入社。21年社長に就任。その後5回にわたりがんを発症するも、これを克服して事業改革を推進。30年経済産業省「はばたく中小企業・小規模事業者300社」「地域未来牽引企業」などに選出。