2018年11月号
特集
自己を丹誠する
インタビュー②
  • 丸三証券人材開発部参与藤井政子

ひたむきな努力と誠実さ、
挑戦心が人生を切り開く

証券大手の大和証券で、優秀な社員に贈られる「社長賞」を実に18回も受賞し、〝伝説の営業〟と称された藤井政子さん。その圧倒的な営業力は、いかにして培われたのか。これまで乗り越えてきた人生と仕事の山坂を交えながら語っていただいた。

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後進の指導に力を注ぐ

——藤井さんは証券大手の大和証券の営業員として、圧倒的な実績を挙げ続け、特に優秀な社員に贈られる「社長賞」を実に18回も受賞されたと伺っています。

ありがとうございます。ただ、私は定年を迎える60歳でこの営業の仕事は終わりにしようと決めていまして、5年前に現役は引退いたしました。でも、今度は別の形で会社に関わってくれないかと言っていただき、若手社員にこれまでの経験を伝えていく教育担当の仕事に携わってきました。

——後進を指導する上で特に心掛けてきたことはありますか。

現役を引退してすぐということもあり、最初は実体験を生々なまなましくお伝えすることができたんですけど、やっぱり時間が経つにつれ話の内容がマンネリ化してくるんですね。ですから、結論は同じでもそれに至る事例は毎回変えるなど、聞く側にとって常に新鮮であることを心掛けてきました。
それに、人によって違いはありますが、いまの若い人はちょっとスイッチをひねってあげるだけでものすごいパワーが出るんです。

——スイッチを捻る、ですか。

ええ。まず一人ひとりのよいところと悪いところをよーく見て、また、彼らに質問したりして理解する。そして「君のここはいいよね!」って、ぱんぱんっとスイッチを入れてあげる、あるいは「え、何でそんな考え方をするの? 教えて!」と、ぱちぱちっとスイッチを切り替える。そうすると若い人たちはどんどん意欲的になって成長していくんですね。
もちろん、そのためには本を読んだり、先輩にヒントをいただいたりして、自分が勉強していなければなりません。教える側も勉強していないと、自分の経験値だけではいまの若い人の変化のスピードには間に合わないんですね。

——教える側も学び続けると。

学び続けて、今年5月に任用期間も終わりまして、大変お世話になった当時の会長にご挨拶に伺ったんです。その時に、「これからは証券業と関係のないことをやりたい」と伝えたら、「いや、君は営業の経験を生かした仕事をするべきだ。君を必要とする素晴らしい会社がある」と、紹介していただいたのが丸三証券でした。
いまは丸三証券で、大和証券の時と同じように後進の育成に携わっています。年次別の集合研修や各支店を訪問して若手社員の悩みを聞いたり、同行営業などもしています。先日も、千葉まで3日間支店訪問に行ったんですよ。

丸三証券人材開発部参与

藤井政子

ふじい・まさこ

昭和28年愛知県生まれ。62年に山一証券に営業職として入社。山一証券の自主廃業に伴い、平成9年大和証券に入社。大和証券を定年退職後、30年より現職。