薩摩焼宗家・沈壽官窯。その歴史は実に424年前、豊臣秀吉の朝鮮出兵の時代にまで遡る。この地に連れられてきた朝鮮陶工が辛苦を乗り越え受け継いだ名品は、現在国内外で高い評価を得ている。先人はこの精巧な技術と民族の歴史をいかに伝承してきたのか。十五代沈 壽官氏に、ご自身の歩みを交えてお話しいただいた。
十五代
沈 壽官
ちん・じゅかん
昭和34年鹿児島県生まれ。58年早稲田大学卒業後、京都での修業を終え、63年イタリアに渡り、国立美術陶芸学校卒業。平成2年大韓民国の工場でキムチ甕づくりを学ぶ。11年沈家初の生前襲名、十五代に。12年大韓民国明知大学客員教授、27年日韓国交正常化50周年記念十五代沈壽官展開催。令和3年駐鹿児島大韓民国名誉総理事に任命される(十四代に続く親子2代での就任)。