2021年2月号
特集
自靖自献じせいじけん
インタビュー①
  • 滋慶学園グループ総長浮舟邦彦

職業人教育を通して
社会に貢献する

創設から44年で24万人以上のプロフェッショナルを輩出してきた滋慶学園グループ。全国で78校を運営し、医療・福祉・アニメ・音楽・スポーツ・映像・美容・ITなど、手掛ける職種は実に500を超える。同グループを率いてきた総長の浮舟邦彦氏に、社会で評価される優れた人材を育てるための考え方や、職業人教育に懸ける思いを伺った。

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変化し続ける社会に対応し24万人の人材を輩出

——浮舟総長の創設された滋慶学園グループは、社会で即戦力となる学生の養成に力を注いでおられるそうですね。

「職業人教育を通して社会に貢献する」というミッションに、開校以来44年にわたって取り組んでまいりました。現在は全国で78校を運営し、医療や福祉、アニメ、音楽、映像、ITなど、500職種を超える人材の養成を行っておりまして、これまでに24万人以上の卒業生を社会へ送り出してきました。

——44年で卒業生24万人。大変な実績です。

常に心に留めていますのが社会の変化です。職業人教育にたずさわる上では、社会の変化によって求められる人材も変化してくることをしっかりと理解しておかなければなりません。
かつての右肩上がりの時代は協調性が重視されていました。けれども、経営学者のドラッカーが説く知識社会へ移行してきたことによって、いまはジョブ型の人材、つまり即戦力として通用する専門知識をしっかり身につけた人材、自ら課題を発見し、チャレンジしていける人材が求められています。
私共は、こうした社会の変化に対応するために、常にイノベーションに努めていかなければなりません。例えば、最近はドローンの技術者やIR(統合型リゾート)のマネジメントといった、これまで日本になかった人材が必要とされてきています。また、いまのコロナ禍も社会の様相を大きく変えましたから、そうした変化にいち早く対応していく必要があります。

——コロナ禍にはどのように対応しておられるのですか。

令和2年の1月20日にコロナ対策本部を立ち上げて情報を一元化し、対策マニュアルを作成すると共に、入手困難になっていたマスクやアルコールの手配などにも努めました。
さらに緊急事態宣言が発令された4月と5月には、ほとんど休日返上でオンライン授業の準備を進め、6月には軌道に乗せました。このおかげで海外の一流講師にも教鞭きょうべんっていただく機会が増えるなど、授業の可能性が大きく広がりました。私共はアメリカのコミュニティカレッジ協会の理事校になっていますし、フロリダ州の大学やバークリー音楽大学などとも提携していますから、オンラインであれば向こうの最新ノウハウも提供しやすくなります。
オンライン授業は通学が大変な学生も受講しやすく、休学者の数が減ったという効果も得られました。その一方で、学生一人ひとりにより綿密な指導ができるリアルの授業の価値を改めて認識させられ、今後の講座のあり方を改めて検討する機会にもなりました。

滋慶学園グループ総長

浮舟邦彦

うきふね・くにひこ

昭和16年大阪府生まれ。39年関西学院大学法学部卒業。58年滋慶学園理事長、62年大阪滋慶学園理事長に就任。現在、滋慶学園グループ総長を務める傍ら、日本医療秘書学会理事長、ザ・シンフォニーホール総監、米国フロリダ州立ウエストフロリダ大学教育名誉博士、米国コロンビアカレッジシカゴ教育名誉博士、韓国啓明大学校教育名誉博士、関西経済同友会文化の力委員会委員長としても活躍中。