2021年2月号
特集
自靖自献じせいじけん
インタビュー②
  • 富士通フロンティアーズシニアアドバイザー藤田 智

いまに集中し、
思い切りよく、
最後までやり通せ!

アメリカンフットボールで、史上最多タイの4年連続日本一を果たした富士通フロンティアーズ。あと一歩のところで優勝を逃し続けていた同チームを、無類の強さを誇る常勝軍団に育て上げたのが、藤田 智氏である。勝ち続けるチームの条件とは何か。ご自身の成長の足跡を交えて語っていただいた(写真:2014年12月、初めてXリーグ優勝を果たし、胴上げされる藤田氏)。

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日本一を目指すなら日本一の一日を積み重ねる

——藤田さんが2019年までヘッドコーチを務められた富士通フロンティアーズは、2020年1月にアメリカンフットボール日本一を決めるライスボウルで見事勝利し、史上最多タイの4連覇を果たされましたね。

富士通という会社がアメフトに集中できる環境をしっかり整えてくれている上に、いい選手、いいコーチに恵まれたおかげです。

——ライスボウルは、社会人のXリーグの優勝チームと大学日本一のチームが雌雄しゆうを決する大舞台ですが、そこまで勝ち上がり、連覇を果たすのは大変なことです。

ヘッドコーチとして意識してきたのは、連覇ということよりもまずきょうの試合に勝つこと。それを積み重ねていった結果が優勝であり、連覇だったと思っています。
日本一という大きな目標はもちろん掲げるんですけど、じゃあその日一日、一所懸命やったかと。やってもいないのに優勝なんかできるわけがない。日本一を目指すなら、まずきょう一日を一所懸命やり、次の日もまたやって、その積み重ねじゃないかと思います。

——現在はシニアアドバイザーとして、どのようなことに取り組んでおられるのですか。

主にコーチのサポートとリクルーティングですね。現場はコーチが仕切っているのでなるべく口は出さないようにしているんですが、彼らに何か困ったことがあれば手助けしますし、怪我をした選手に声を掛けたりといったこともしています。
リクルーティングでは、学生の試合をたくさん見て情報収集しています。特に意識しているのは、将来チームの中心になるような、プレーにメンタリティを感じる選手を見出すことです。自分で目標を設定して、そのために自分をしっかりコントロールできるような選手が理想ですね。

富士通フロンティアーズシニアアドバイザー

藤田 智

ふじた・さとし

昭和42年愛知県生まれ。61年京都大学入学、アメリカンフットボールを始める。卒業後は同部コーチとなり、平成10年アサヒ飲料チャレンジャーズのヘッドコーチに就任。同チームをXリーグ2連覇、ライスボウル制覇に導く。17年富士通フロンティアーズのヘッドコーチに就任。ジャパンエックスボウル(Xリーグ決勝)で4度苦杯をなめるも、26年に初優勝。Xリーグ・ライスボウル共に3連覇を成し遂げ、31年3月ヘッドコーチを退任し、現職。