93歳のいまなお現役を貫く有田焼の陶芸家・井上萬二氏。15歳で予科練に入隊し、終戦を迎えた後、17歳より陶芸の修業の道に入り、42歳で独立。66歳の時に人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定された。今日に至るまで、いかにして技と心を磨き高めてきたのか。その心懸けと実践の軌跡を辿ると共に、人生を変えた出逢い、運を掴むために大切なこと、よいアイデアを生み出す秘訣、伸びていく人と途中で止まってしまう人の差、健康長寿の要諦などに迫った。
陶芸家
井上萬二
いのうえ・まんじ
昭和4年佐賀県生まれ。15歳で海軍飛行予科練習生に入隊。復員後、17歳で柿右衛門窯に弟子入りし、初代奥川忠右衛門に師事。県立有田窯業試験場での勤務、米国ペンシルべニア州立大学の焼物の講師を経て、46年に独立し、現在の井上萬二窯を開く。平成7年重要無形文化財指定(人間国宝)に認定される。9年紫綬褒章受章、15年旭日中授章受章。活動は国内だけに留まらず、アメリカ、ドイツ、ハンガリー、モナコ、ポルトガル、ポーランドなど、世界各国で多数の個展を開いている。現在、日本工芸会参与、有田町名誉町民。