事故や病気によって、呆気なく体の自由が奪われる可能性は誰しもある。消沈し、希望を見失っても不思議はない。しかし、東京大学大学院教授・中澤公孝氏は、ある条件を満たすと脳は驚異的な変化を見せ、却って健常時を超える能力が引き出されるとの仮説を構築している。世界に先駆ける研究の現場からの証言に耳を傾けたい。
東京大学大学院総合文化研究科教授
中澤公孝
なかざわ・きみたか
昭和37年長野県生まれ。60年金沢大学教育学部卒業、平成3年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、国立障害者リハビリテーションセンターに勤務。同研究所運動機能系障害研究部長を経て21年より現職。近著に『パラリンピックブレイン』(東京大学出版会)。