平成30年度に児童相談所に寄せられた児童虐待相談対応件数は15万件を超える。家庭内でのドメスティックバイオレンス(DV)の増加にも歯止めがかからない。いま日本の家庭に何が起こっているのか。社会福祉法人慈愛園(熊本県)で子どもの教育に生涯を捧げてきた潮谷愛一氏と、脳科学の分野から虐待やDVにアプローチしてきた福井大学子どもこころの発達研究センター教授の友田明美氏に、日本の育児を取り巻く問題点を交えながら、家庭に笑顔を取り戻すヒントを語り合っていただいた。
慈愛園子供ホーム元園長
潮谷愛一
しおたに・よしかず
昭和14年熊本県生まれ。37年日本社会事業大学卒業。45年アメリカウィッテンバーグ大学交換留学。アメリカ・情緒障害児施設研修。元尚絅大学短期大学部助教授。59年から平成15年まで社会福祉施設・慈愛園子供ホーム園長。17年から九州ルーテル学院大学教授。27年から同名誉教授。熊本市社会福祉協議会会長も務める。
福井大学子どものこころの発達研究センター教授
友田明美
ともだ・あけみ
昭和35年熊本県生まれ。熊本大学医学部卒業。平成2年熊本大学病院発達小児科勤務。15年米マサチューセッツ州の病院に留学。18年熊本大学大学院准教授を経て、23年より現職。同大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長を兼任。日米科学技術協力事業「脳研究」分野グループ共同研究の日本側代表を務める。著書に『子どもの脳を傷つける親たち』『親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる』(共にNHK出版)など多数。